中東については知っているようで知らないことが多いです。
スンニ派、シーア派、パレスチナ解放機構、アルカイダ、タリバン、ムスリム同砲団とはなんなのか?
この辺をカバーしているお手ごろ価格の本を本屋で物色した結果、藤村信氏の「中東現代史」が一番良かったです。
第二次世界大戦から1991年湾岸戦争、1993年オスロ合意までの中東の歴史を、新書230ページにコンパクトにまとめてあります。
教科書的でなく、物語のように面白く書いてあり、一気に読むことができます。
読んで思ったのは、「中東では日本人の常識なんて全く通用しないな」ってことです。日本と中東では、おかれた環境が、まったく全然ちがうのです。
中東では、下のような対立軸が複雑に絡まりあっています。
・ユダヤ教とイスラム教とキリスト教の対立。特に三宗教の聖地が同じエルサレムにあるのが争いの元
・イスラム教内のスンニ派とシーア派の対立
・アメリカv.s.ソ連の代理戦争
・産油国と先進国石油企業との駆け引き
・油田の取り合い
・石油価格カルテルの成立と裏切り
・スエズ運河の取り合い
・社会主義経済と自由経済
・米国に住むユダヤ人の米国政府へのロビー活動
・独裁政権を打倒する大統領暗殺とクーデター
国を失っていたユダヤ人が、1948年、聖地エルサレムを含むエリアで、イスラエルを建国しました。これが血塗られた中東現代史の発端です。イスラエルとアラブ諸国の間で宗教と国境の対立が同時に発生し、第一次中東戦争が勃発しました。その後は、それぞれの国がアメリカ、ソ連、その他先進国から兵器を輸入しては戦争する、の繰り返しです。
その間にも、
・エジプトがスエズ運河国有化を宣言したり(スエズ運河は船が地中海からアジアへ行く近道)
・先進国石油メジャー企業から石油権益を取り返して油田国有化を宣言する国がでたり、
・親米の独裁者が暗殺されて反米の指導者があらわれたり、
・イスラエル和平条約を結んだエジプトのサダト大統領が暗殺されたり、
・最初はアメリカと仲良くし軍事力をつけたイラクがクウェートに侵攻して、イラク対アメリカ連合の湾岸戦争が起きたり、
・存在すら認め合ってなかったイスラエルとパレスチナ解放機構が相互に承認し(オスロ合意)和平交渉のテーブルに着いたり、でもやっぱり和平プロセスは後退したり、
と、いろんなことがおきました。
今を生きる私達は、世界で何が起きているのかをしっかり理解すべきです。そのためには中東の歴史の知識は不可欠です。
お読みいただきありがとうございました。
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