今回は「予備知識無しでもよく分かる経済解説」シリーズをお送りします。
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日本銀行は、日本経済の安定のために非常に重要な役割を担っています。
日経新聞や経済ニュースには、頻繁に「日本銀行」という言葉が出てきます。新聞に日本銀行についての記事が出たということは、日本銀行がなにか重要なことをコメントしたが実行ということなのですが、日本銀行が関連する記事は小難しくなりがちです。
そこで、日本銀行とは何をしている所なのかを説明します。この記事を読めば、これからは日本銀行が登場する経済ニュースを100%理解できるようになるでしょう。
日本銀行の3つの役割
三菱東京UFJ銀行や、三井住友銀行、みずほ銀行のような、私たちがお金を預金している銀行は、「民間銀行」とよんだり、「市中銀行」とよんだりします。
一方、日本銀行は、民間銀行ではなく、「中央銀行」とよばれます。私たちは日本銀行にお金を預金したりすることはできません。日本のどこにいっても、日本銀行ATMはありません。
日本銀行は、私たちが使うための銀行ではないのです。
それでは、日本銀行は誰のための銀行なのでしょうか。誰が日本銀行にお金を預けているのでしょうか。
答えは、「政府」と「民間銀行」です。政府と民間銀行は、日本銀行にお金を預けています。
政府は、国民や企業から集めた税金や、国債を発行することで集めたお金を、日本銀行に預けています。このように、日本銀行は「政府の銀行」という役割を担っています。
民間銀行も、日本銀行にお金を預けています。また、民間銀行が日本銀行にお金を借りることもあります。そのため、日本銀行には「銀行の銀行」という役割もあります。
なぜ、民間銀行が日本銀行からお金を借りたりするのでしょうか。まず、民間銀行がどんな商売をやっているのか説明します。
民間銀行の商売
私たちが民間銀行にお金を預金したとき、民間銀行はそのお金を全部銀行の中に保管しているわけではありません。
預かったお金を企業に貸したりしてお金を増やしています。そうしないと私たちに預金の利子を払うことができません。
定期預金金利は0.2%とします。私たちが金利0.2%で1億円を銀行に預けたとしましょう。銀行はそのお金を0.2%以上の金利で企業に貸します。例えば1.2%で1億円を企業に貸したとします。
すると、企業が1年間で銀行に支払う金利は
1億円×1.2% = 120万円
になります。
一方、私たちが銀行から受け取る金利は
1億円×0.2% = 20万円
です。
120万円から20万円を引いた100万円が銀行の儲けになります。
このように預金と貸付金の「金利差」から、銀行は収益を得ているのです。銀行は私たちから預かったお金を全部銀行の中に保管しているのではなく、企業などに貸し付けていて、手元にはそれほどお金は残っていません。
なぜ民間銀行が日本銀行からお金を借りるのか
ここで、金融不安が起こり、「銀行が倒産するかもしれない」といううわさが流れたとします。すると、私たちは銀行に殺到して自分の預金を全部引き出そうとするでしょう。これを「取り付け騒ぎ」と言います。
「取り付け騒ぎ」が起きてしまうと、経営に何の問題も銀行でさえ、お金を準備できなくなってしまいます。預金を引き出す人が増えたからといって、お金を貸している企業に「急に預金を返さないといけなくなったから、貸したお金を今すぐ返してくれ!」とは言えないからです。
内部で持っているお金が底を尽きそうになった銀行は、どこからかお金を一時的に借りてきて、預金者にお金を返す必要があります。
このような時、民間銀行は他の民間銀行からお金を借ります。民間銀行の間でのお金の貸し借りは普段からよく行われています。
しかし、金融不安のせいで民間銀行がお互いを信用できなくなってしまった場合には、民間銀行は他の民間銀行からお金を借りることができません。
このような時に頼りになるのが日本銀行です。民間銀行は他の民間銀行からお金を借りることができない場合でも、日本銀行からお金を借りることができるのです。
そのため、日本銀行は「最後の貸し手」とも呼ばれます。
これで、なぜ日本銀行が民間銀行にお金を貸すのか理解できたことと思います。
日本銀行の役割3:発券銀行
日本銀行の3つめの役割を説明します。それは「紙幣の発行」です。
日本円の紙幣を良く見ると、そこには「日本銀行券」と書いてあります。
紙幣とは、日本銀行が発行している券なのです。
以上が日本銀行の役割です。日本銀行はこれらの役割を通して、お金や金融システムを管理し、景気や物価を安定させます。
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