ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー」


この本をはじめて読んだのは1年くらい前です。Kindleの英語版を2カ月くらいかけて読みました。

そして最近邦訳版の文庫本で読み返しました。上下巻を2週間弱で読みました。やっぱり日本語のほうが圧倒的に読むスピードが速いです。

Kindleは小説のような、前から読み進める本に適していますが、「ファスト&スロー」のような、後から特定のページを参照したくなる本にはあまり向かないことも分かりました。

ペラペラとページをめくって昔読んで気になった部分を探す、と言う行為が、Kindleではものすごく時間がかかります。この辺は紙ベースの本に軍配が上がります。

話がそれましたが、「ファスト&スロー」はいまさら私が紹介するまでもなく有名な本です。「プロスペクト理論」という行動経済学の論文などによってノーベル賞を獲得したダニエル・カーネマン氏による著書です。

偉い学者が書いた本だからと言って小難しいところはありません。さまざまな心理学の実験結果によって、人間がいかに愚かな判断をしてしまう生き物であるかということを、これでもかと言わんばかりに説明していきます。この実験が非常に面白い。

例えば、次のような問題を被験者に答えさせる実験があります。

  五台の機械は五分間で五個のおもちゃを作ります。
  百台の機械が百個のおもちゃを作るのに何分かかりますか?

しっかりと考えずに、さっと答を出してしまうと、「百分」と答えてしまいますが、正解は「五分」です。

人間の脳の中の、「しっかりと考えずにさっと答を出してしまう」機能を本書では「システム1」と呼んでいます。一方、「じっくり考えて計算して答を出す」機能を「システム2」と呼んでいます。

このシステム1が、いつもしゃしゃり出て直感的に判断を下すので、人は誤った判断をする傾向があります。

もっとも、システム1があるからこそ、私たちは車を運転しながら助手席の人と会話する、などのマルチタスクを実行することができるのですが。

日常生活ではシステム1に活躍してもらいつつ、高価な買い物をする時や、仕事上の重要な意思決定をするとき等には、システム1を押さえつけ、システム2に登場してもらい、じっくりと冷静に検討する、と出来ればベストなのですが、本書を読むと「言うは易し行うは難し」であることがよく分かります。

本書を読んでるといろいろ考えさせられます。考えたことはまた当ブログで記事にして紹介したいと思います。

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