内村鑑三「代表的日本人」は日本人必読の書

「代表的日本人」は、日本人必読の書です。

日本やアジアを見下す欧米人に対し、日本が高い水準の独自の文化を持つことを知らしめるために、日本を紹介する本が英語で書かれました。その代表的なものが、新渡戸稲造「武士道」岡倉天心「茶の本」、そして、内村鑑三「代表的日本人」の三冊です。

今回は内村鑑三「代表的日本人」を紹介します。
 
本書は、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人を代表的日本人としてあげ、彼らが成し遂げた偉業と人物像を描いています。

私にとって一番おもしろかったのは、二宮尊徳の章でした。現代に彼がいたら、おそらく企業再生請負人になっていたと思います。

尊徳は、薪を背負って歩きながら本を読んでいる二宮金次郎の像でおなじみです。勤勉で勉強家だったことを伝える像ですが、本書を読むと、そのハードワーカーぶり、勉強家ぶりはハンパではなかったことが分かります。

尊徳は、実父が死んだ後、引き取られた先の伯父の田畑で日中仕事をし、わずかな時間を見つけてアブラナを栽培し、夜勉強する時の灯りにする油を手に入れたり、わずかな面積の荒れ地を耕して自分の米を作ったりしました。

この米を元手に自分の故郷に自力で帰り、今度は自分の先祖の田畑を勤勉さで復活させ、倹約によって財を築きました。これらの経験から尊徳が学んだことは、「自然は、その法に従う者には豊かに報いる」という原則でした。

このシンプルな原則に基づいて、尊徳は周囲の人を支援、指導して、収穫を増やさせ豊かにさせました。その評判を知った大名から荒れ果てた村の復活を依頼され、尊徳は10年かけて村を復活させました。

村を復活させるときの手法は、次のようなものです。尊徳は一日二時間しか寝ず、朝早くから働き、夜遅くまで働いて村人の模範となりました。模範をしめしつつ指導することで村人の心を一新しました。そして収穫をあげると同時に倹約をすすめ、10年分の穀物の備蓄を蓄えさせました。

企業再生プロセスでいうところの、社員の意識改革による売上増、コストカット、内部留保蓄積による経営の安定化です。

こう書くと簡単そうに見えますが、実際は大変です。変化を嫌う人や、反乱分子が必ず現れます。尊徳がどのような行動や言葉で人を従わせ、村を復活させたか、詳しくは本書をご参照ください。

尊徳以外の章も読みごたえがあります。西郷隆盛、上杉鷹山は有名ですが、中江藤樹を知らない人は多いと思います。貧しさをいとわない高潔な精神をもった教育者の鏡のような人です。

日本人にこんなに偉大な人がいたと知るだけで鼓舞されます。彼らに共通するのは、名声や利益に対する欲望にまどわされず、正しく生きたことです。いまの私達が手本にすべき点だと思います。冒頭の繰り返しになりますが、本書は日本人必読の書です。


お読みいただきありがとうございました。
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