おたずねします、「『論語』の『道に志し、徳にもとづき、仁によりそい、芸に遊ぶ』の一章について教えてください」と。
(王陽明)先生がいわれた、「冒頭の『道に志す』の一句は、以下の三句の努力と関連するから、これだけを切り離すことはできない。
家屋を建設することにたとえるならば、『道に志す』とは、土地を選び資材をあつめてきりもりして住宅を完成させようといつも意欲を持ちつづけることであり、『徳にもとづく』とは、計画がすべて完成し、生活の根拠ができたことであり、『芸に遊ぶ』とは内装を施して住宅を美しく仕上げることである。詩を朗誦し書物を読み、琴をつまびき射的を習うということなどは、実践主体を調教して道に習熟させる方法である。もしも、道を志向しないで芸にうつつをぬかすようでは、もののわからぬ子供が、先に住居をつくることもしないで、やみくもに絵画を買い込んでは正門に掛けようとするようなもので、いったい、どこにかけようというのかね」と。
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