ピーター・ドラッカー「エルザ先生のワークブック」とは

過去記事「英語学習を続ける方法」で、「何か成し遂げたい目標を定めたら一冊のノートを用意し、やったことの記録をつける」という方法を紹介しました。

私はこの方法を、大学受験対策のために使用したのを皮切りに、重要な試験や研究の度に活用してきました。

これと同じような方法を、ピーター・ドラッカー氏も活用していたそうです。しかも彼の場合は小学校時代から活用しています。

ピーター・ドラッカーの方法は、
1.一冊のノートを用意する
2.定めた目標を書き込み、目標を達成するための計画を書き込む
3.計画の進捗状況を書き込む
4.定期的に計画と実際の進捗の違いを振り返る
というもののようです。

ピーター・ドラッカーはこのノートを「エルザ先生のワークブック」と呼んでいます。

ドラッカー氏の著作「傍観者の時代」から、この「エルザ先生のワークブック」に関する部分を抜粋します。

P58
(エルザ先生の言葉)「では計画をたてましょう。さあ、これがあなたのワークブック。同じものを先生ももつわね。読み方と綴りの目標は決めません。でも、ここの空いている所に、読んだ本の名前、内容、感想、もう一度読むつもりかどうかを書きなさい。あなたみたいにたくさん読む人は、そういうことを書いておくことが好きなはずよ。」
「次に作文だけど。作文は週二つ。題をここに書いておきなさい。それから算数ね。二つ欄があるけど、こちらに掛け算や割り算など、もう習ったことの成績、こちらに分数などの、これから習うことについての成績の、目標と結果を書きましょう。そして、これがペン習字の計画。毎週書く二つの作文を読める字で書くこと。読める字を一行ずつ増やしていきましょう。」
「毎週二人で、このワークブックを見直していきましょうね。聞きたいことがあれば、いつでもいらっしゃい」」

P68
「エルザ先生からは、方法と規律を学んだ。そのおかげで、ギムナジウムでは、一年のうち八か月から九か月は好きな事を追いかけていられた。教師たちが私の落第間違いなしと見ている中、エルザ先生のワークブックで目標を定め、計画を立てることによって、学年末には上位三分の一か四分の一の成績を収めることができた。
 私が二一歳で法学の博士号を取ったときも同じ方法で勉強した。その頃すでに私は、新聞社の記者兼論説として働いていた。私自身大学で教えていたが、学生としては大学の授業に出たことはほとんどなかった。法学の博士号取得に必要だった民法、刑法、訴訟法のたぐいも、エルザ先生の方法によって勉強した。」

このワークブック。目標が軽々とかなう魔法のノートのように思えますが、実際に書いてみると、目標を明確にすることや、目標達成のための計画を立てることは、そう簡単ではありません。

しかし、目標と計画をノートにはっきりと明確化できた時は、その目標達成の確率はグンと高まります。

逆に言うと、目標が漠然とした夢の形のままで、具体的な計画まで落とし込めていない場合には、その目標は夢のままで終わる可能性が高い、ということです。

漠然と夢を持っている人は、是非「エルザ先生のワークブック」を書いてみてはいかがでしょうか。


ピーター・ドラッカー氏は、エルザ先生のワークブックを起源とし、後に企業マネジメントのための「目標管理」という概念を提唱します。

この「目標管理」の概念は、今では世界中の企業に受け入れられています。毎年期初に「目標管理シート」等と名付けられたシートに目標を書き、期末に上司と目標達成度合いを面談する、という光景はどこの会社でも見られます。

ちなみに、外資系企業ではこの目標管理シートをMBO(Management by Objectives)と呼ぶ会社が多いようです。このManagement by Objectivesという言葉も、そもそもピーター・ドラッカー氏が生み出した言葉です。


お読みいただきありがとうございました。
素晴らしい英語ブログがたくさんあります。こちらもどうぞ。

にほんブログ村 英語ブログ 英語学習情報へ
にほんブログ村

↓↓ツイッターをフォローいただくと、ブログ更新情報を受け取れて便利です。


コメント