「ダメな議論―論理思考で見抜く」を読みました

「ダメな議論―論理思考で見抜く」を読みました。

タイトルのとおり、ダメな議論を見抜く手法を解説する本です。

世の中には、”一見もっともらしく聞こえるが実は何の根拠もない議論”が飛び交っています。
ダメ議論の中には、国民的な常識になってしまっているものもあります。

本書はダメ議論を見抜くためのチェックポイントとして次の5つをあげています。
 
1.定義の誤解・失敗はないか
2.無内容または反証不可能な言説
3.難解な理論の不安定な結論
4.単純なデータで否定されないか
5.比喩とたとえ話に支えられた主張


「1.定義の誤解・失敗はないか」のダメ議論の好例は、古いですが、民主党の鳩山前総理大臣の「友愛社会を目指す」との主張です。

この「友愛社会」の定義が何なのかは、おそらく鳩山氏本人もよくわかっておらず、「人と人、国と国が仲良しな社会」程度の曖昧な意味で使っていたようです。

「友愛社会」の定義が不明なままでは、友愛社会を実現する手段を決めることもできませんし、友愛社会を達成できたのかどうか判断することも不可能です。こんな目標が当時の最優先目標だったのだから驚きです。

定義の誤解・失敗のある議論を見抜く方法は、相手が一見聞こえの良い言葉、「友愛」「夢」「幸福」「生きる力」「しなやかな」などを使ったときに、「その言葉の定義を教えてください」と質問することです。しどろもどろになり長々と曖昧な説明をしだしたら、それは定義づけをせずに言葉を使っている証拠です。


実際に日本に広がっている以下のダメ議論を、5つのチェックポイントを使って、一刀両断にする鮮やかさは見事です。

・今の若者には夢がない
・ニートは増加している
・日本の物価は高すぎる
・日本の食料自給率は低い
・このままでは日本は財政危機に陥る
・日本政府の公共投資や行政指導が民間企業の活力を奪った
・不況で非効率な産業・企業が淘汰され、新たな産業・企業が生まれることで、経済は成長する
・日本の国際競争力は低下している
・財政支出をGDPの一体範囲に抑え、財政を健全化させるべきである

この5つのチェックポイントをマスターするのは、切れ味の良い日本刀を手に入れるようなものです。学校、会社、家庭、ウェブ上で議論になった時、なんとなく言いくるめられたり議論に負けたりすることはなくなるでしょう。相手の議論の欠陥を見極めばっさり切ることができてしまいます。

ただし、切れ味が良すぎるため気をつけましょう。人間関係を壊してしまう可能性があります。

「あなたの議論には欠点がある。なぜなら・・・」などとやらずに、こちらも一見もっともらしいダメ議論をあえて展開し、相手を言いくるめるという高等テクニックも社会で平和に生きていくうえでは必要です。

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