今回は「予備知識無しでもよく分かる経済解説」シリーズをお送りします。
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2008年に、それまで未曾有の好景気を謳歌していたアメリカの経済が突然崩壊しました。
住宅ローンを返せずに家を手放す人が続出し、失業者が溢れ、リーマン・ブラザーズという大手投資銀行が破綻し、そのほかにも多くの金融機関が破綻し、買収され、政府の保護下に入りました。
金融不安は世界中に伝播し、欧州の多くの大手金融機関も経営危機に陥りました。
影響は日本にも及びました。幸い欧米のような金融不安は発生しなかったものの、輸出と内需が同時に急減し景気が悪化しました。そして失業率が上昇しました。
2010年は20年ぶりの就職氷河期となり、就職できない学生がたくさん現れました。
このように世界中の経済が大混乱に陥った発端は、アメリカの「サブプライム・ローン」とよばれる住宅ローンでした。
なぜ、アメリカの住宅ローンが世界の経済を混乱させ、日本の学生の就職にまで影響を及ぼしたのでしょうか。
サブプライムローンによるバブル発生とその崩壊までを振り返ります。
まずは、サブプライムローン・バブルの一つ前のバブルである、ITバブルの崩壊から見ていきましょう。
ITバブル発生と崩壊
1990年代後半から2000年にかけて、アメリカや日本では、ITブームが起きました。
印刷技術や自動車以来の大発明とよばれたインターネットが急速に普及し、人々の生活を大きく変えました。
インターネット関連企業が次々に株式を上場し、上場直後から株価は急騰しました。
インターネットと全く関係のない企業でも「ネットワーク」「ドットコム」などインターネット風の言葉を社名に入れるだけで株価が暴騰する騒ぎでした。
ビジネスの実態のない会社でも、「インターネットを活用して今までにないビジネスを展開する予定」と発表するだけで、簡単に株式を上場することができました。投資家達は、そのようなネット関連銘柄を先を争うようにして買い求めました。
株式の上場利益によって億万長者になる人が相次いで現れました。
しかし、このようなITバブルが永遠に続くわけはなく、2000年の後半にはITバブルは崩壊し、世界中のIT関連銘柄が下落しました。
2001年9月11日には、アメリカのニューヨークで同時多発テロが発生し、世界の政治と経済は混乱しました。
FRBは、2001年に11回の利下げを行い、6%だった金利を1%台まで下げました。1年間に11回も金利を下げることはとても異例のことです。それだけ当時の経済が危機的状況だったということがわかります。
1%台の超低金利は景気が回復しはじめる2004年11月まで続けられました。
この、2001年から2004年まで続けられた超低金利政策が、後のサブプライム・ローン・バブルの原因となったのです。
【解説】
ITバブル崩壊とFRBの対応について
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200年後半、ITバブルが崩壊したため、FRBは11回の利下げを行い、6%だった金利を1%台まで下げた。この超低金利政策は2004年まで続けられた。
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住宅バブル発生
FRBの超低金利政策によって、アメリカの景気はだんだんと回復していきました。
しかし、この低金利政策は副作用をもたらしました。
民間銀行が低い金利でお金を借りられるようになると、銀行は住宅ローンの貸付を積極的に増やしました。安い金利で調達したお金なので、低い金利の住宅ローンを貸しても、十分儲けることができるからです。家を買う人にとっても、住宅ローンの金利が低いことは嬉しいことでした。
住宅ローン会社は熱心に住宅ローンをすすめ、人々は低金利で借りたお金で夢のマイホームを手に入れました。
住宅購入を希望する人がどんどん増えたため、アメリカでは不動産価格がどんどん上昇していきました。
すると、「値段が上がる前に買わないと!!」と、ますます住宅を買いたがる人が増えていきました。
このようにして、アメリカの不動産価格は空前絶後の勢いで上昇していったのです。
これは、かつて日本が「円高不況」で苦しんでいるときに日本銀行が低金利政策をとったことが、「カネ余り」と「不動産バブル」の原因となったのとよく似ています。
【解説】
低金利政策による不動産バブルの発生について
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2000年台前半、「ITバブル崩壊」への対策としてFRBは政策金利を6%から1%台に下げた。低い金利でお金を調達した銀行は、低い金利でどんどん住宅ローンを貸し、多くの人がどんどん住宅を購入した。こうしてFRBの政策が不動産バブルの原因となった。
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