山田ズーニー著「伝わる・揺さぶる!文章を書く」を読みました



山田ズーニー氏は、「進研ゼミ」ベネッセの小論文通信講座に長年携っていた、小論文のエキスパートです。

この本の内容は単なる文章術にとどまりません。私は本書を読んで、自分の頭で考えることや、違う感情や考えを持つ他者との関わり方についての考えを大きく変えました。

山田氏は文章を書く時に考えるべき7要件を挙げます。

1.意見
2.望む結果
3.論点
4.読み手
5.自分の立場
6.論拠
7.根本思想

私にとっていちばん新鮮だったのは「7.根本思想」です。


根本思想とは

「根本思想とは、文章の根底にある書き手の価値観、生き方・思いだ。尊敬、侮蔑、感謝、憎しみ、怒り、依存、エゴなど、文章を支える想いは、言葉に書かずとも如実に表れてしまう。」

文章を一言で要約したときに表れるのが根本思想です。

お母さんの一言要約

息子「俺は、べつに彼女をしばる気はないんだ。彼女は自由だし、やりたいことをやればいい。だから、彼女が留学するのは、ちっとも反対じゃない。ただここで問題なのは、彼女の動機だよ。安易な留学ブームにのっかってるだけじゃねえか。だいたい、そんな、あいまいな気持ちで留学したって、逃げてるだけじゃ・・・」

母「淋しいんだね、おまえ」

これこそ要約です。お母さんは息子の根本思想をちゃんと理解しているから素晴らしい要約ができるのです。

どんなに華麗な文章を書いても、根っこによこしまな考えがあると、読み手は気付いてしまいます。逆に、ポジティブな気持ちで書かれた文章は、稚拙であっても人の心を動かします。

当ブログの過去記事を振り返ると、「自分を偉く見せよう」などのネガティブな動機で書いたものもあるなーと気付きます。穴があったら入りたい気持ちです。

本書を読んで、侮蔑、憎しみ、エゴなどネガティブな気持で書いていないか、ポジティブな気持ちを持っているか、ふり返るようにしました。


本書の根本思想

著者がベネッセを退職しフリーランスになった後、仕事がとれず苦労した1年半の葛藤が正直に書かれています。

自分が正しいと信じるままに議論し孤立した時代。

相手の信頼を得ることを最優先し自分の感情を殺した結果、仕事を得たが、その仕事への情熱や生きるエネルギーを失っていた時代。

逆境の中での激しい葛藤の結果、山田氏がたどり着いた真摯な結論には感動しました。

そしてエピローグで読者は、山田氏が本書を書いた根本思想に出会います。この一文を読んだ瞬間、ジーンときてしばらく身動きできませんでした。

本書自体が、「伝わる・揺さぶる!文章」なのです。


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