安岡正篤氏の本を何冊も読みました。
仕事関連の本や情報ばかり摂取していたら、専門バカになりそうだと感じたからです。しかも私の専門分野は、いかに企業を儲からせるかに関連することです。金儲けのことばかり考えていると、心が乾いてくるような感触をおぼえます。それで東洋哲学の本でも読んでみようと思ったのですが、これが大正解でした。
安岡正篤氏は、近現代日本における東洋哲学の開祖というべき人です。日本では明治以降、東洋哲学や武士道が衰退していきました。安岡正篤氏は東京大学卒業時に「陽明学の研究」を出版したのを皮切りに、東洋哲学の探求をつづけ、執筆や講演などを通して東洋哲学を復活させました。自民党の歴代の総理大臣が安岡正篤氏の助言を仰いでいたのは有名です。企業経営者にも大きな影響を与えています。
乱読では単なる物知りにとどまります。自分のブログ記事を読み返してみると、自分の言葉に重みがなく、軽薄な知識のひけらかしが多いのに気づきます。浅く広く知識をむさぼるのではなく、もっと自分を深めるような読書、勉強をしたいと考えるようになりました。
安岡正篤氏の本を読んでみると、これがおもしろくてしようがありません。とくに「論語を学ぶ」を読むと、国の元首や大臣、官僚が腐敗していたのは紀元前の中国でも変わりないことがわかります。しかも昔の中国では飢えや戦争が日常茶飯事でした。国内でも官僚同士の出世あらそい、策略陰謀が耐えませんでした。一国の王でさえも安心することができない世の中です。これと比べると、今の日本よりもはるかに不安定な世の中です。
そんな過酷な環境下であるにもかかわらず、「暴力や策略でなく仁(優しい心)によって自分を鍛え、家族を養い、町を統治し、そして国を治めよ」と説いた孔子や孟子は、いったいどういう人だったんだろうと思います。
安岡正篤氏の本を読むと、孔子や孟子、その他論語にでてくる人物、王陽明(陽明学の開祖)などの人物像に接することができます。論語、大学、中庸、孟子の四書や、伝習録の原典を読んだだけでは分からない周辺情報も紹介されてあり、とても興味深く読めます。
今は安岡正篤氏のPHP文庫本を一通り読みおわり、王陽明の伝習録を読み返しているところですが、最初に読んだときよりも深く理解できているような気がします。
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