羽生善治氏の「決断力」を読みました。本書は、将棋において羽生氏がどうやって次の一手を指しているか、にフォーカスして書かれています。極限までテーマを絞ることで、かえって内容に普遍性が備わっています。誰が読んでも、仕事や日常生活、子育てなど、自分の事について洞察を与えてくれる本です。
私の印象に残ったのは、「続けることの大切さ」です。
プロ棋士になるには、小学生の時にプロを志し、奨励会に入り少しずつ段をあげ、26歳までに四段にならなければなりません。競争相手が数多くいる中で勝ち星をあげ続けていかなければならないプレッシャーは相当なものです。段が上がってもそこにはもっと強い先輩がひしめいていて、そこを勝ち上がらないとプロA級には上れない。なかなか成果がでないのに厳しい訓練と勝負を何年も繰り返さないといけない。
このような厳しい環境で、プロ棋士になるためには、天性の才能よりも、ずっとあきらめずに続けることの方が大事であると羽生氏は説きます。自分より優れた人がある日突然まったく別の職業に就いてしまうことが、何度もあったそうです。
何かを成し遂げるには続けることが大事だとは、羽生氏の言葉を読む前から知っていることではありました。しかし、言うは易し行うは難しで、実際に何かを続けるのは大変です。
私の英語学習の場合は、続けることは難しくありませんでした。ネットで英語学習法を調べ、音読とリスニング、シャドーイングを繰り返せば1年程度で成果がでるとわかっていたからです。1年もかからずTOEIC800を超え、その後MBAやTOEIC900オーバー、英検1級を取得しました。
このようにノウハウが確立されていて、自分がいつゴールに達するか見通せる場合、続けることは苦ではありません。今の自分とゴールの距離が分かり、一日行動を起こす度にゴールに近づいていることがわかるからです。
しかし、いつゴールにたどり着くかわからない、ゴールできるかどうかすら定かではない、という状況で毎日続けるのは大変です。途中で「このままやってもゴールできないんじゃないか」などと、いろいろ考えてしまいます。羽生氏よりも将棋の才能があった方々も、頭脳が優れているが故にいろいろと考えてしまい、自分で見切ってしまったのではないでしょうか。
こう考えると、「頭の良い人よりもバカの方が成功する」というのも一理あるような気がします。いろいろ考えて途中でやめてしまう秀才よりも、なにも考えず、それこそバカみたいにひたすら続けるバカの方がゴールにたどり着く、というわけです。
一番成功確率が高いのは、頭の良い人がバカみたいな情熱で続ける、というケースでしょう。
このブログにお越しいただいた方の知的水準は高いはずです。あなたに必要なのは、より優秀になることでなく、バカになることかもしれません。
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