福田和也「ひと月百冊読み三百枚書く私の方法」を読みました


膨大な量で、しかも質が高いアウトプットを続ける、福田和也氏の知的生産の秘密を知りたくて本書を購入しました。

読む前は、膨大な情報を情報収集・整理し知見を得るために、さぞかし洗練された手法を駆使しているのだろうと思っていました。

しかし、本書に紹介されている知的生産の技術は拍子抜けするほどシンプルなものでした。

私が今まで読んだ知的生産術本のなかでも、ずば抜けて最も単純なやりかただと思います。

福田和也氏が情報収集と整理に使うツールは、背広の胸ポケットに入る大きさのメモ帳だけ。一冊のメモ帳に、原稿執筆に必要な情報を集約します。


P155
(一冊のメモ帳に)総て書き込んでしまう。
講演などのメモ、取材のメモ、本からの抜書き、新聞からのメモ、CDといった買い物リスト、、、
それを、何の分類もしないで頭から書いていき、一杯になったら次のメモにする、という形で、ここ八年間ほどをすごしてきました。
こうしたやり方がなりたつのは、デジタルツールの発達ということもあります。
まず、携帯電話があれば、住所録をもっている必要がないこと。
予定については、適宜、ノートパソコンのアウトルックに打ち込んでしまえばよい、ということ。
つまりは、携帯とノートパソコンを大体持ち歩いていることによって、メモ帳一冊で、すべてが事足りることになるのです。
けれども、一冊に集約して、抜き書きから買い物まで書いてあると、その時点時点で考えていたことや、生活ぶりがうかがわれて、なかなかに興味深く、役に立ちます。
私ほど雑多なことをしている人間が、メモ一冊で、と思われるかもしれませんが、いろいろな仕事をしているからこそ、一冊でないと困るのです。


そして、福田和也氏のメモ帳の大部分を占めるのが、本からの抜き書き。福田氏は、本を読んだら重要な部分を手書きで抜き書きすることを強く推奨しています。

P60
この、書き写すというのが、とても大事なのです。
たしかに、利便性を考えれば、そこの情報なり論旨なりを抽象して書けばいいかもしれません。
けれども、実際にテキストを引用しておくというのは、とても大事なことです。
まずは、引き写しておけば、いちいち本にあたる必要がなくなる。つまりは原稿の校正をする時まではノートを手元においておけば足りる。
そして、もう一つ大事なのは、写すことによる、発見や理解が必ずあります。


福田氏はプロの物書きなので、ものを書くために本を読みます。一般人のように、娯楽のために漫然とした読書はしません。アウトプットのために本を読む場合は、目的を明確にしなければならないと福田氏は説きます。

P28
まず何よりも「目的」をはっきりさせることです。つまり、自分は、いったいなんのためにこの本を読むのか、という目的意識をはっきりもたなければなりません。


小説を読む場合でも、レトリックの技術を研究するために読む、その小説の舞台となっている時代について知識を得るために読む、など目的はさまざま有り得えます。自分の目的にフォーカスして読むことが大事です。

福田和也氏の圧倒的アウトプットの秘密は、地道な抜き書きの継続による情報や発見を積み重ねだとわかりました。

本書を参考にして、目的を明確にして本を読むこと、手書きで抜き書きすること、一つの媒体に抜き書きなどの情報を集約すること、の3点を実践してみることにしてみました。


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