ドラッカー「経営者の条件」に出て来る「ブライアン看護師の原則」

ドラッカーの「経営者の条件」に、「ブライアン看護師の原則」という挿話が出て来ます。

私はこの話が気に入っていて、仕事をしている人はもちろん、全ての人が知っておいて損はない話だとおもっているので紹介します。

 新任の病院長が最初の会議を開いたとき、ある難しい問題について全員が満足できる答えがまとまったように見えた。そのとき一人の出席者が、「この答えに、ブライアン看護師は満足するだろうか」と発言した。再び議論が始まり、やがてはるかに野心的なまったく新しい解決策ができた。

 その病院長は、ブライアン看護師が古参看護師の一人であることを知った。特に優れた看護師でもなく、看護師長をつとめたこともなかった。だが彼女は、自分の病棟で何か新しいことが決まりそうになると、「それは患者さんにとっていちばんよいことでしょうか」と必ず聞くことで有名だった。事実、ブライアン看護師の病棟の患者は回復が早かった。

 何年か後には、病院全体に「ブライアン看護師の原則」なるものができあがった。みなが「目的とするものに最高の貢献をしているか」を常に考えるようになっていた。

 今日では、ブライアン看護師が引退して10年が経つ。しかし彼女が設定した基準は、彼女よりも教育や地位が上の人に対し、いまも高い要求を課している。


現在では「カスタマー・エクスペリエンス」という言葉があり、マーケティング戦略、ブランディング戦略の一要素として定着しています。

驚くべきは、ドラッカーが本書「経営者の条件」を書いたのは1966年だということです。今から約50年以上前です。ブライアン看護師が彼女の原則を実行していたのはさらに前ということになります。

「それは顧客にとっていちばんよいことだろうか」と自問自答し、顧客にとって一番良いことを実践する。これはとても単純な方法です。しかし、簡単ではありません。

顧客にとって一番良いことは、仕事をしている側にとっては一番面倒くさいことでもあります。カスタマー・エクスペリエンスの最大化よりも、自分の業務効率の最大化をついえらんでしまいがちです。

なのに、「それは患者さんにとっていちばんよいことでしょうか」と常に聞いたブライアン看護師は立派 な方ですが、周囲からうっとおしがられたこともあったでしょう。私も自分の隣にブライアン看護師がいたら少々居心地が悪いです。

だからこそ、「ブライアン看護師の原則」を実践できれば、それは大きなアドバンテージになるのです。

「ブライアン看護師の原則」を実践する企業はライバル企業に勝つことができ、あなたは社内のライバルに勝つことができるのです。


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