※当記事は2009年2月23日に作成したものです。
Japan’s Norinchukin to raise nearly $15 billion
TOKYO, Feb 20 – Japan’s Norinchukin Bank will raise nearly $15 billion to strengthen its capital base, as the unlisted agricultural lender looks to offset heavy losses on its investment portfolio
出所FT.com
語彙)
Norinchukin:農林中央金庫。資産60兆円(平成20年3月末時点)の日本最大級の金融機関。
Billion:10億
Strengthen:強化する
Capital base:資本基盤。自己資本。
Unlisted:非上場の。(農林中金の株式は上場されていない)
Lender:貸し手。金融業者。
Osset:相殺する。埋め合わせる。
(和訳)
東京。2月20日 - 日本の農林中金は資本基盤の増強を図るため約150億USドルの増資を行う。これは、非上場の農林系金融機関(農林中金のこと)の投資用ポートフォリオで生じた巨額の損失を穴埋めするもの。
(コメント)
農林中金は一見、「農業関係者への融資だけしてそうな、地味な金融機関」と思われがちですが、実は農協会員からの預金によって巨額な資産を保有し、株や債券のほかにヘッジファンドも含めた積極的な世界分散投資を行っています。
今回サブプライムローンによる金融マーケットの混乱が生じた際にも投資の積極姿勢を崩さすアグレッシブな投資を続けたため、巨額の損失を被っています。
そのため、今回1兆9000億円の増資を実施すると発表しました(このFTの記事では150億ドル=約1兆4000億円となっていますが、誤りと思われます)。
今回の農林中金が積極投資で大損害を被ったことは、外資金融に勤める日本人にも大きな影響を与えそうです。
なぜなら、外資金融マンは農林中金との取引で大きな収益を上げてきたからです。農林中金が外資金融に支払う株・債券の取引手数料や、ヘッジファンドへの手数料は巨額なはずです。農林中金への販売実績を上げて巨額のボーナスを手に入れてきた外資金融セールスマンは沢山います。
今後農林中金が、日本国債を中心とする保守的な運用に回帰した場合は、外資金融の日本機関投資家向けビジネスのパイが縮小することを意味します。
「農中さん!今が相場の底ですよ!The Intelligent Investorであらせらる農中さんが今狼狽売りなんてしないですよね!今こそ買い増ししてはいかがですか!!」と叫ぶ外資セールスマンの声が聴こえてきそうです。
最近暗いニュースばかりを紹介していますが、今の時代を象徴するニュースと、それに対する自分の感想を残しておくことは有意義であると、考えております。
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