米国金融安定化法案騒ぎに対する米国民の反応

 ※以下の記事を書いたのは、リーマンショック直後の2008年10月15日です。この記事を書いた後、アメリカの対応の早さによって2009年2月に株式市場は底をつけ大きく上昇しました。


米国の金融安定化法案が修正され、可決されました。

最初、下院で否決された際に、日本のメディアでは、

「この否決は、高い報酬を稼ぐウォールストリートの人間を税金で助ける法案に対する、米国民の怒りだ」

という論調が一部ありましたが、

私の知り合いのアメリカ人たちの反応は少々違いました。

金融とは無縁の仕事をしている人でも、この否決には失望している人が多かったです。

It still is sad at times because I expect my leaders to be able to leave petty disagreements aside to do what is best for all.

という意見や、

「自分の選挙区民を意識したスタンドプレーだ。法案に反対した議員は法案の中身も、今回の問題の中身も理解していないのだろう。」

という意見がありました。

彼らから、「今回の否決で、日本は米国に対して失望しているのではないか?」と聞かれましたが、

「今回の否決は驚きだったけど、アメリカの対応の速さのほうが驚きだ。日本の不良債権問題は、問題の存在を政府や銀行が認めるまでに数年かかり、解決するのに10年以上かかった。」

と答えました。

これは私の率直正直な感想です。

アメリカは、政府も企業も、問題点が生じたら、適切と考えられる方向へすぐさま方向転換するスピードがとても速いと感じます。

一方日本は、まっすぐ同じ方向へ進む能力は優れており、より効率的にまっすぐ進む方法を考えたり改善したりするとは得意だと思います。

しかし、日本は、方向転換する能力は著しく低く、問題が発生しても舵を切ろうとせず、できるだけまっすぐ進み続けようとします。

いよいよのっぴきならない状況に追い込まれるか、他国や国連、G7、IMFなどから「問題の解決を期待する」と外圧をかけられてはじめて、方向転換を始めます。

アメリカの全てが素晴らしいと肯定するつもりは全く無いのですが、日本はアメリカから学ぶことはたくさんあると思います。

特に今回の金融危機問題では、これからもアメリカの決断力と行動力を観察する機会がたくさんあることでしょう。


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