MBAの転職市場は厳しそうです

※当記事は2009年4月に作成したものです。私の考えは当時から変わっていません。

 

WSJの記事を紹介します。

With Jobs Tight, M.B.A.s Head for Home

By ALINA DIZIK

After working in public accounting for three years, Joe Fusco, wanted to become an investment banker. So he invested more than $70,000 and two years into an M.B.A.

But as he prepares to graduate from the University of Notre Dame in Indiana next month, Mr. Fusco, 27 years old, hasn't had any luck landing a position in finance. The only solution he has is to go back to his accounting roots. "It's a tough pill to swallow, but I've come to the conclusion that I can't sit and wait and cross my fingers," he says.


(和訳)

求人動向厳しく、MBAは古巣へ

3年間会計事務所で働いた後、ジョー・フスコ氏はインベストメント・バンカーになりたいと考えた。そこで彼は7万ドル(約700万円)のお金と2年間という時間をMBAに投資したのだ。

しかし、インディアナ州のノートルダム大学を来月卒業という今でも、フスコ氏(27)はファイナンス業界の職を見つけられていない。彼の唯一の解決策は、会計の仕事へ戻ることだ。「これはつらい経験だ。だけど祈りながら座って待っているわけにはいかないんです。」


(語彙)

a tough pill to swallow:つらい経験

cross my fingers:幸運を祈る


(コメント)

このフスコ氏は2007年MBA入学のようです。2000年代前半の投資銀行業界の羽振りのよさに憧れ、インベストメント・バンカーへ転身するためにMBAに入学したものの、在学中にサブプライムバブル崩壊・・・という、本当に気の毒なケースです。

MBAに入学する前にいた業界に戻るのであれば、いっそMBAに行かずにずっとその業界で働き続けていたほうが、プロモーションや昇給の面では有利だったかもしれません。

2年後の景気動向を予測することなど経済の専門家でも難しいのに、20代の若者には無理な話です。

今までのキャリアを捨てて、MBAへ入学するのは、ある意味、賭けであると言えます。

フスコ氏は、MBA卒業後の転身という意味では賭けに負けてしまいました。

しかし、彼のMBAという財産は今後必ず生きてくることと思います。

キャリアアップのために大きな資金を投資し、今の仕事を辞めるというリスクをとる気概を持ち、厳しい競争を勝ち抜いてMBAへ入学し卒業するような若者は、ビジネス界にとって必要な財産です。

大企業に就職してもリストラされる危険性があり、安全性を狙って郵便局に就職しても民営化して厳しい競争にさらされてしまうのが、今の世の中です。

「寄らば大樹の陰」が当てにならない現代では、最もリスクの低い勤め先を探すのはあまり前向きなスタンスではありません。

「世の中がどう変わっていっても生き残る力を身につけよう!」と考えるほうがよほど前向きです。

そして、リスクをとって挑戦を続けることで自分の能力を高めることが、「将来生き残れないリスク」を最小化する結果につながるのではないかと思います。


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