麻生首相バイ・アメリカン条項を批判

※当記事は2009年2月6日に作成したものです。

 Financial Timesに日本に関する記事が載っていましたので紹介します。


Aso joins in criticism of Buy American

(麻生首相バイ・アメリカン条項を批判)

By Mure Dickie in Tokyo

Published: February 4 2009 12:01 | Last updated: February 4 2009 19:37

A proposed Buy American provision in Washington’s forthcoming economic stimulus bill would breach the principles of the World Trade Organisation, Japan’s prime minister asserted on Wednesday in an escalation of international opposition to the US plans.


(語彙)

Provision:条項

Washinton:ワシントン。米国政府

Forthcoming:来るべき

economic stimulus bill:景気対策法案

breach:違反する

Principle:原則

the World Trade Organisation:WTO(世界貿易機関)

assert:主張する

escalation of~:~の拡大

opposition to ~:~への反対


(和訳)

米国政府による景気対策法案に含まれているバイ・アメリカン条項は、WTOの原則に違反していると、日本総理大臣は水曜日、米国の方針に対し国際的に批判が拡大する中、主張した。


(コメント)

バイアメリカン法案とは、米国の公共事業では外国製品を購入せずアメリカ製の製品だけを購入することを義務付ける法案です。一時は鉄鋼から一般製品まで対象が広がる動きもありました。

1929年の大恐慌時にも、世界各国が自国の産業を守るため保護主義政策をとりました。これによって世界的な貿易活動が萎縮し、かえって景気回復に時間がかかる結果となりました。このような事例があり、「保護主義政策は世界経済にマイナス効果を与える」というのはコンセンサスになっています。にもかかわらず、このような法案が出てきてしまうのは、政治家が企業や労働組合有権者の支持を得たいと考えるためでしょう。オバマ大統領は今のところこの法案に対し、慎重なスタンスをとっているようです。オバマ大統領の今後の対応が注目されます。

日本では、定額給付金を日本国民に配布することによって内需を拡大しようとしています。これは先のダボス会議で麻生総理の講演の中にある「貿易黒字国は内需を拡大し、不均衡を是正せよ。日本ももちろん不均衡是正に取り組む。」という発言内容に沿ったものです。ところが日本議会では、この定額給付金については瑣末な議論に終始しており、政争の具としてしか使われていないという印象を受けます。

米国の政治家にも、日本の政治家にも、グローバルな視点と長期的な視野を持った議論と意思決定をしてほしいものです。

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