※当記事は2009年12月5日に作成したものです。
グーグル会長兼CEOのSchmidt氏がウォールストリートジャーナルに寄稿しています。
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How Google Can Help Newspapers
So when I think about the current crisis in the print industry, this is where I begin - a traditional technology struggling to adapt to a new, disruptive world. It is a familiar story: It was the arrival of radio and television that started the decline of newspaper circulation. Afternoon newspapers were the first casualties. Then the advent of 24-hour news transformed what was in the morning papers literally into old news.
新聞業界が現在置かれている危機について考えるために、伝統的テクノロジーが新しい世界に適応しようともがいていた時のことからはじめよう。これはよく知られた話だが、ラジオやテレビが登場したとき、新聞の発行部数は減少した。夕刊紙が最初の犠牲者だった。24時間ニュースが報道されるようになると、朝刊紙に掲載されるニュースは読者にとって古いニュースとなった。
(中略)
With dwindling revenue and diminished resources, frustrated newspaper executives are looking for someone to blame. Much of their anger is currently directed at Google, whom many executives view as getting all the benefit from the business relationship without giving much in return. The facts, I believe, suggest otherwise.
収益が落ち込み、経営資源が減っていき、いらいらしている新聞業界の幹部は、攻撃すべき誰かを探している。彼らの怒りの多くはグーグルへ向かっている。多くの新聞業界幹部はグーグルを、収益を奪い見返りを返さない奴だとみなしている。
(中略)
The flow of accurate information, diverse views and proper analysis is critical for a functioning democracy. We also acknowledge that it has been difficult for newspapers to make money from their online content. But just as there is no single cause of the industry's current problems, there is no single solution. We want to work with publishers to help them build bigger audiences, better engage readers, and make more money.
正しい情報、幅広い意見、適切な分析といった情報が流れることは、民主主義が機能するために非常に重要なことだ。新聞業界が、ウェブコンテンツから収益を得ることは、これまで困難だった。しかし、現在の新聞業界の問題の原因が一つではないように、解決策も一つではない。我々(グーグル)は、新聞業界が多くの読者を獲得し収益を得る手助けをしたいと考えている。
(中略)
I certainly don't believe that the Internet will mean the death of news. Through innovation and technology, it can endure with newfound profitability and vitality. Video didn't kill the radio star. It created a whole new additional industry.
私は、インターネットの登場が新聞の死を意味するとは考えていない。イノベーションとテクノロジーによって、新聞は新しい収益源とバイタリティによって生き残ることができる。ビデオの登場でラジオ・スターが消えることはなかった。ビデオは全く新しい産業を創出した。
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「インターネットが負ける方に賭けるな」という言葉でも有名なグーグルCEOのシュミットが、新聞を励ます文章を書いたということに大きな意味があります。
勝負事で、敵に励まされたらおしまいです。
グーグルはじめインターネット業界の拡大する一方で、アメリカでは新聞や雑誌が次々と廃刊に追い込まれており、すでに勝負はついている感があります。
新聞が生き残る道は、自らの強みである魅力ある記事、コンテンツを作り出す能力に磨きをかけ、そのコンテンツを使って、紙以外の新しいメディアで収益を獲得する方法を確立する所にあるでしょう。
ウォールストリートジャーナルは経済金融記事に特化しポジションを確立している分、生き残る可能性が高い新聞社です。その余裕が、敵であるシュミット氏の寄稿を掲載する所にも現れています。
問題が深刻なのは、コンテンツ創造能力を持たない新聞社です。日本で言うと、共同通信などの記事で紙面の多くを埋めている会社です。そのような新聞は地方紙に多いようですが、大手では毎日新聞が最近共同通信と契約し、自社の記者をリストラする気配を見せています。自らコンテンツ創出能力を捨てようとしているのです。
この経営判断がどのような結末を迎えるでしょうか。これからもウェブのニュースチェックが欠かせません。
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