日経新聞「闘う経済学者」鈴木亘氏の記事が面白い!





日経新聞「闘う経済学者」鈴木亘氏のインタビュー記事がおもしろかったです。

闘う経済学者、改革は忖度なし 保育園もホームレスも・学習院大教授・鈴木亘さん(人間発見)


鈴木氏は1994年に日本銀行に入行します。支店勤務などの後、入行4年目でエコノミストに抜擢され、景気予測を担当します。このエコノミストチーム時代の内幕を暴露してしまっています。

日銀の方々はこの記事を読んで頭を抱えてしまったのではないでしょうか。

暴露部分を抜粋します。

景気予測ってすごく厳密なものだと思いませんか。でも違うんです。日銀は官僚組織ですから、まず「天の声」がある。「そろそろ金利を上げたいので成長率が2%より低いと困る」といった声がどこからか聞こえてくる。そうするとエコノミストは鉛筆をなめなめ、忖度(そんたく)した数字を作るのです。

景気予測は、その要素となる「住宅投資」は入行1年生、「公共投資」は5年生など担当の部門が決まっています。それを積み上げて全体の数字が悪いと、リーダーが年次の低い順にたたき始めるんです。「君、住宅はこんなに悪くないだろ?」といった感じで。

困ったことに、私がドリームチームで担当したのは業界ではなく、コンピューターを使った景気予測でした。コンピューターはウソをつけません。1997年に実施する消費増税の直前だったので、マイナス成長の予測を出しました。

すると既存の景気予測班から「本当にこれを出す気か?」と聞かれ、けんかに。もちろん予測の結果は貫いたものの、がっくりきました。景気は年次できまるのか、と。潮時と悟り、辞表を出しました。
日銀内部ではこんな忖度が今でも行われているのでしょうか。

たぶん、多かれ少なかれ行われていることでしょう。

たとえば、現在のマイナス金利政策です。

日銀はマイナス金利政策を2016年から始め、かれこれ4年近く続けています。しかし、目標にしているインフレ2%には全然届いていません。

それどころが、マイナス金利は銀行の体力を奪い、金融システムを疲弊させています。

「マイナス金利政策は、物価上昇につながらない。逆に、金融システムを疲弊させて景気を悪化させる」というのは、これまでの4年間の実験で明らかです。

日銀には超優秀な人材がわんさかといます。マイナス金利政策が逆効果であることに気づいている人は少なからずいるはずです。

しかし、黒田日銀総裁に「総裁、マイナス金利をやめましょう」と具申する人材は日銀内部におそらくいないでしょう。そんなことを言った人が日銀内部で一生浮かばれなくなるのは、火を見るより明らかだからです。

物価が上がらなくても、銀行が破綻しても、日銀内部の人には何の影響もありません。物価と金融システムを守るために、自分のキャリアと人生を犠牲にする必要はありません。

日銀批判になってしまいましたが、このような現象は日銀だけに限りません。「忖度」で組織や社会が動いていることは結構多いのではと思います。

その結果、世の中に歪みがでて、ある人や組織を不幸にする一方で、ある人や組織に収益機会を与えているような気がします。

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