本書は、こちらの記事で紹介した、考える技術・書く技術 (講談社現代新書)の続編です。文章を書くための情報収集と整理の仕方、書き方について、前作よりさらに詳しく解説しています。
面白かったのは、情報洪水を処理するために著者が編み出した「三段階法」という方法です。
P40
私は、三段階法というやり方で、あらゆる情報を三つに分けることにしている。まず第一は、一生かかっても何かやって見たいと思う目的を作る。(中略)第二は、今から五年か六年のうちに実現したいこと、という目標を作る。本を一冊書こうというような仕事は、この第二の分類に入る。第三は、これから六ヶ月しか命がないとしたら、どれだけのことをやっておきたいかを考えて、目的を決める。つまり、長距離、中距離、短距離の三つの目的を具体的に決めるわけである。
このように目的を明確にすることで、世の中に溢れる情報の中から、自分の目的にあう情報だけを収集・整理することができるというわけです。本書が書かれた1970年代ですらこのような工夫を必要としたのですから、インターネットが普及し、流通する情報量が爆発的に増えた現代ではなおさらです。
著者がどのようにして情報をカードに書きとめ、分類し、論文や随筆に仕上げていくかを具体的に解説してあるのも、とても参考になります。
著者は、スクラップやカードを作ったら、はじめは細かく分類せず、「アメリカ」などの大まかな分類にとどめ、フォルダーに保管します。フォルダーが5センチくらいに太ってきてはじめて、「語学教育」「エチケット」「カーター」などとのれん分けをして別なファイルを作ります。残ったものは相変わらず「アメリカ」フォルダーにプールしておきます。分家したフォルダーが、随筆や論文へと育っていきます。
著者の場合は、「言葉」「料理」「セックス」「近代文学」等のぶあつい親フォルダーが十くらいあり、それから分家した「やせたフォルダー」がたえず二十から三十あるそうです。そしてそのうち、いよいよまとめに入るものをバインダーに整理して、持ち歩きができるようにする、という方法をとっています。
以前の記事で紹介した、スマートノートが、発想の幅を広げてくれるのにも似ています。フォルダーとノートという媒体の違いだけのように思います。
岡田斗司夫氏のように、幅広い分野について豊富な知識と自分の意見をもち、多くのアウトプットをしている人がいますが、そんな人はおそらく一つの親フォルダーからスタートし、次第に分家フォルダーを増やすようにして、関心の領域を広げていったのでしょう。
私は、スマートノートと並行してフォルダーの育成とのれん分けもやっています。
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