ライオンから家畜を守るシンプルな方法 silver bullet


今回はこちらの記事を紹介します。

南アフリカでは、大型ネコ科動物が家畜を襲うという事件が発生します。

そこには、ライオンが農家の暮らしを脅かすだけでなく、周辺をうろつくライオンを見かけた人間が銃を撃つという、農家とライオンにとって、双方の命が掛かった深刻な問題があります。

しかし、このたびの研究により、ローテクのシンプルな方法で、双方の命を救う可能性が発見されました。

その方法とは、牛のお尻に目玉模様を描くというものです。

ニュー・サウス・ウェールズ大学がボツワナのオカバンゴ・デルタ地域で行った研究によると、この単純な方法で、大型ネコ科動物に襲われずに済んだ家畜の数が大幅に増加したそうです。捕食者たちは獲物から見つめられていると思い、狩りを放棄したと言います。

研究者は「農家と野生動物の衝突は、保護区の境界線に沿って激しくなります。多くのコミュニティが、野生動物との共生のために莫大な費用を負担しています」と話しています。

「私たちの知る限り、今回の研究で初めて、目玉模様が捕食者である大型哺乳類に有効であることが分かりました。この低予算で行えるシンプルな方法が、共生のための費用削減となれば良いと思います」

実験には14の牛の群れが使われました。

それぞれの群れの3分の1の牛に目玉模様を、また、別の3分の1には×印を描き、残りの3分の1には何も描きませんでした。

4年間に及んだ研究には、トータルで2,061頭の牛が使用されました。

その結果、目玉模様の牛は1頭も襲われませんでした。一方、何も描かれなかった牛は15頭、×印の牛は4頭が襲われてしまいました。

研究者たちは、この結果に対して「家畜を守るための重要な一歩だ」としながらも、決してこの問題のすべてを解決する「魔法の方法ではない」という警告を付け加えています。


この単純な方法が効力を発揮するとは、非常に面白いです。科学技術にばかり頼るのではなく、昔ながらの方法を見直すことも大切だと思い知らされました。現代の世の中において、この実験を遂行した研究者の方々の頭の柔らかさを見習いたいと思います。

今日の英単語:silver bullet
ソース記事の最後で、研究者が「この方法は”silver bullet”ではない」と言っています。silver bullet「銀の弾丸」は、狼男を倒すことができる唯一の武器であると言い伝えられていました。それが転じて、「難しい問題を解決する方法」という意味があります。特に素早く簡潔に解決できる「魔法のような方法」というニュアンスがあり、”There is no silver bullet for the problem.”のように否定分で使われることが多い表現です。

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