パーソナル・ファイナンスの重要方程式


今回は、パーソナル・ファイナンスについてです。個人の家計を考える際に重要な方程式を紹介します。

私たちが受け取る収入の全ては、

総収入= 仕事の収入-支出+(資産残高×運用利回り)-(借金残高×借金の利率)

という式で表すことができます。



仕事の収入-支出
これは簡単ですね、「仕事の収入」は、会社員の場合は給料を指します。「支出」は生活費など全ての支出です。

仕事収入と生活支出の2つしか意識していない方が多いようですが、資産が生み出す収益と、借金から生れる支出もきちんと意識することが、より良いパーソナル・ファイナンスを確立する秘訣です。それぞれ以下で説明します。


(資産残高×運用利回り)
これは保有する資産から得た収益を表します。例えば、100万円の預金を持っていて、利回りが1%の場合:

資産残高(100万円)×運用利回り(1%)=1万円

となり、1万円が「資産から得た収益」となります。

「資産残高」を増やし「運用利回り」を高められるかどうかで、同じ給料をもらっている人でも総収入が全然違ってきます。


(借金残高×借金の利率)
これは借金のために支払っている利子の金額を表します。例えば、住宅ローンで2000万円借りていて、利率が5%だった場合、

借金残高(2000万円)×借金の利率(5%)=100万円

となり、100万円が「支払った借金の利子の額」となります。

あなたが経済的に安定した生活を送るためには、(借金残高×借金の利率)をゼロまたはできるだけ小さくすることが大切です。


(仕事の収入-支出)のプラスを資産へ移す

親から独立したサラリーマンの収入のほぼ全ては仕事から発生します。資産はあっても少額なので、いくら運用利回りを高くても資産から得られる収益は限られます。まずは「仕事の収入-支出」をプラスに維持し続けることが大事です。そして余ったお金を資産へ移し、資産を大きくしていくのです。徐々に資産が大きくなるとともに資産から得られる収益が大きくなっていきます。

大切なのは、借金をできるだけしないことです。「仕事の収入-支出」をプラスにしても、借金の利払いにあててしまったのでは、いつまでたっても資産が大きくなりません。いつまでも仕事の収入に依存した自転車操業状態が続くことになります。

有望な事業があるが当面の資金がない、という場合には資金を借りるべきです。しかし、個人家計に限って言えば、利子は受け取るべきものです。支払ってはいけません。借金は貧困への負の連鎖を招きます。


運用利回りを高めるために投資する
資産を増やし運用利回りを高め、「資産からの収益」が「仕事からの収入」を上回ることを目標にします。そのためには、資産を銀行預金にだけ預けるわけにはいきません。もっと高い利回りを得られる投資が必要です。

投資のはじめの一歩として、コストの低いインデックス型投資信託に長期分散投資する方法が良いです。まちがってもFXや株の短期売買を指南する投機本や、マネー雑誌には手を出さないようにしましょう。


仕事を引退し資産運用で生活する
資産から発生する収益が仕事の収入を上回りFIREした人や会社を定年退職したら、仕事の収入はゼロになり、(資産残高×運用利回り)が収入の全てになります。

(資産残高×運用利回り)-支出をプラスにする方が安心です。プラス分を資産へ移すことで、「資産運用の収益で生活しつつ、さらに資産を増やす」という状態に持っていけるからです。いつまでも安心して暮らすことができます。

(資産残高×運用利回り)-支出がマイナスの場合は、「資産を少しずつ食いつぶしながら余生を過ごす」という状態です。お金が尽きるのが先か、死ぬのが先か、という、あまりハッピーではない状態です。

十分な資産残高を蓄え、運用収益が生活支出を上回るようになって初めてリタイヤすることが大切です。


収入が少なくて貯蓄できない場合
この方程式のメッセージを一言で要約すると、「貯蓄しなさい」ということです。「そんなことは分かってる。でも収入が少なくて貯蓄できない」という人もいるかと思います。

そんな方には本多静六氏著「私の財産告白」を読むことをお勧めします。本多氏は「収入の四分の一を貯蓄し投資する」という方法で億万長者になり、その後全財産を寄付してしまいました。収入の四分の一を貯蓄するのは大変そうですが、この本では具体的な方法が紹介されています。本多氏の質素で高潔な生き方からは、節約・貯蓄の方法だけでなく多くの事を学ぶことができます。

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