野崎 昭弘「詭弁論理学」を読みました



相手の主張にはどこかおかしいところがあるのに、その場で指摘できず、言い負かされてしまった、という経験は誰しもあるでしょう。

これはあなたの頭が悪いからではありません。相手がバカでわがままで厚顔無恥なだけなのです。

本書は、良識を持つがゆえに議論に負けてしまう人のための一冊です。
 

自分の意見を押し通そうとする強弁派のやり口には次のようなものがあります。

小児型強弁:自分の主張を子供のわがままのようにいいつのる。

二分法:人々や考え方を原理的基準で二つに分けてしまう。中世の魔女狩り、現代の右翼・左翼のレッテル貼り等。

相殺法:相手の主張を認めた上で、重箱の隅をつついて帳消しにする(例「お宅のピアノがうるさいんですが・・・」「あら、あなたのトイレを流す音もうるさいんですよ。トイレやめてくださる?」)


バカの強弁に付き合うだけでうんざりしますが、相手に多少の知恵があり詭弁がからんでくるとやっかいです。

本書では、詭弁的二分法、詭弁的相殺法、論点のすりかえ、主張のいいかえ、三段論法、ドミノ理論などの詭弁の構造を解説したうえで、それらへの対処法が紹介されます。

例えば、ドミノ理論は、国際政治の場でも多用されています。ある社会主義国で学生による平和的なデモが起きたとします。すると政府は、「このデモがきっかけとなって各地にデモが連鎖するかもしれない。すると国全体が混乱してしまう。さらに外国にもデモが広がれば混乱が世界規模に広がる。」とドミノ理論を展開し、「ゆえに今デモを起こしている学生を戦車で踏み潰すべきである。」と結論します。

このようにドミノ理論は、小さな問題を大きく膨らまし、自分の極端な行動を正当化したいときに使われます。

本書を読めば、議論や口論の場で相手が強弁・詭弁を使ってきたら、「ああ、こいつは二分法で論点を単純化して、小児型強弁で自分の意見を押し通そうとしているな。」と見透かすことができるようになります。

飯田泰之著作「ダメな議論――論理思考で見抜く」とあわせて読めば鬼に金棒でしょう。


しかし、手に入れた金棒で相手をコテンパンにやっつけるのはやめましょう。手加減してあげるのが良識というものです。


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