小島寛之著「使える!確率的思考」を読みました



私がMBAで学んだ中で、有益なものの一つが、確率です。

MBAは企業の経営を学ぶところです。経営とは不確実な将来への取り組みです。そしてMBAの講義では、将来予測のために確率を徹底的に使いたおします。

例えば、ある新規事業を立ち上げようとする場合には、収益予測を立てます。この予測値を期待値といいます。予測がばっちり当ることは無いので、「だいたいこの辺りに収まるだろう」という範囲を予想します。このとき使うのが標準偏差です。
 

この期待値と標準偏差という、確率的思考の概念を知るだけで、将来の不確実性に対する見方が変わります。将来に対して、1つの予測だけで決めうちするのでなく、「平均的にはこの辺りだろう。そして7割程度の確率でこの範囲に収まるだろう」という考え方をするようになります。このように、未来を点でなく分布で捉えるのが、確率的思考のメリットの一つです。

本書は、素人のための確率入門としてお勧めできる本です。統計学の重要な概念が、易しく解説してあります。

特に素晴らしいのが、バスの到着時刻やサーフィンでの波の高さなどのたとえ話を用いながら標準偏差を解説する章です。標準偏差をこんなに直感的に理解できるように解説してある本はほかにありません。最初にこの本で標準偏差を学んでおけば、MBAの確率統計の講義も楽だったと思います。

確率的思考を知ると次のようなメリットがあります。

まず、将来を一点に決め付けず、分布という「面」で将来を捉える思考が身に着きます。そして、予測を的中させることでなく、分布の形状を正しく把握することに思考を集中させることができるようになります。

すると、過去を観察してパターンを発見することができます。また、本当はパターンなどないのに、パターンがあると思い込んでしまう、という失敗を避けることができます。

将来予測の中に、自分の希望的観測を混入させることがなくなります。例えば、「地震はもう起きて欲しくない。だから多分地震は起きないだろう」というような思考をすることがなくなります。

直感による将来予測が、いかに当てにならないかを知ることができます。事故を恐れて飛行機に乗らない一方で煙草を吸う、宝くじを買う、などの行為が確率的思考の観点からはいかにナンセンスかを知ることができます。

確率的思考を身につけたい方は是非読んでみてください。

アマゾンでは中古本が1円でかえます。


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