佐々木俊尚氏の「仕事するのにオフィスはいらない 」を読みました



人は気付かないうちに、自分が一日に吸収できる情報の量やアウトプットの量に上限を設けています。本書はこのことを読者に気付かせ、仕事量にブレイクスルーを起こさせます。

著者の佐々木俊尚氏はIT関連のフリージャーナリストとして著名な方です。佐々木氏の仕事量は有名で、毎月8本の雑誌連載と4本のウェブ連載、年間4~5冊の書籍刊行、論壇誌などの単発の原稿執筆年間20~30本、執筆文字数は月間15万字前後(400字詰め原稿用紙400枚程度)という物凄さです。さらに講演会や勉強会講師を年間50回程度こなしています。

ワーカホリックというわけではなく、毎日の食事はすべて自分が担当し、一日の家事に割く時間は2時間に上るそうです。一日5キロのジョギングを欠かさず、毎年2週間以上の海外リゾートを楽しんでおられます。

佐々木氏が大量のアウトプットを創出する秘訣は、「いつでもどこでも情報収集とアウトプットができる仕組みを作る」の一言に尽きます。佐々木氏は情報収集と情報整理を細切れ時間を使っておこないます。例えば訪問先企業の会議室で相手が来るのを待っている数分の間にもiPhoneでグーグルリーダーをチェックし、後で読む記事にスターをつけるという徹底ぶりです。iPhoneアプリ「バイライン」を使えばグーグルリーダーの記事を電波の届かない所でも読むことができます。

収集した情報はほぼ全てエバーノートに保存します。思いついたアイデアやメモ、写真、後述メモの録音はiPhoneのエバーノートに保存します。取材中のメモもPCにブラインドタッチし、オンラインストレージに保存します。こうすることでiPhoneからもPCからも完全に同期された情報を参照することができます。

本書ではさらっと書かれていますが、アイデアの徹底保存が重要ポイントです。エバーノートに保存すべきは情報でなく自分の思考です。情報は検索すればまた取れますが、アイデアは一度忘れてしまうと二度と取り戻せません。思考をすぐにメモし閲覧・検索可能な形で保存することが、大量アウトプットの必要条件です。

まとまった時間をとれる時に、手持ちの情報を掘り下げ、掘り下げた思考をフレームワークで整理し、提案書・企画書・報告書の作成、原稿執筆をします。このプロセスで大事なのはアテンションとリラックスのリズムを上手く保つことです。息抜きの読み物につい読みふる、ということがない仕組み(コンタクトポイントの絞込みなど)を整備します。

クラウドの活用
佐々木氏の仕事スタイルの特徴は何と言っても「クラウドの徹底活用」です。情報は一括してエバーノートに保存する、TODOリストもiPhoneのリメンバー・ザ・ミルクを使う、ウェブサイトのお気に入りはPCのブラウザでなく、ソーシャルブックマークの「デリシャス」に保存する、という具合に徹底してクラウドを使います。クラウドに保存することで、ノートPCと自宅のPCの両方で参照でき、iPhoeやPCが壊れてもデータはなくならないというメリットもあります。

便利ツールたち
このほかにも本書では、便利なツールを紹介しています。例を挙げると、
・日経テレコン21を無料で使う方法(某大手N証券に口座を作ると使い放題)
・Gmailのカスタマイズ(返信定型文、常に全員に返信、送信&アーカイブ、別スタイル署名、ドキュメント作成、オフライン)
などです。
私は、ファイヤーフォックスのアドオン(デリシャス、Read it later)が役に立ちました。

誰でもノマドになれるか?
「佐々木氏の真似をすれば誰でも大量アウトプットできるわけではない。集めまくった情報の切り貼り程度しかアウトプットできない。まずは自分自身の軸を持ち情報に対する処し方を身に付けなければならない。」という意見もあるでしょう。しかし私はそれでも大量インプットし大量アウトプットすることを勧めます。量をこなすことで段々とアウトプットの質を上げることができるからです。最初絵が下手でも連載を続けるうちに格段に画力を挙げる漫画家と同じです。佐々木氏の一連の著作にも同じような進化が見られます。

アウトプットとフィードバックをグルグル高速回転させるほうが、計画を練るのに時間をかけるよりも良い物を生み出せます。これは個人も組織も同じです。


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