今回は「予備知識無しでもよく分かる経済解説」シリーズをお送りします。
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前回記事(【予備知識無しでもよく分かる経済解説8】プラザ合意によるバブルの発生と崩壊1)の続きです。
バブル崩壊
土地の価格があまりにも極端に上昇していくため、日本銀行や政府は、「借金して土地を買うような動きをこのまま放置することはできない」と考えました。
日本銀行は、公定歩合を2.5%から6.0%まで上げました。公定歩合は、民間の銀行が日本銀行からお金を借りるときの金利です。公定歩合を上げるということは、民間の銀行がお金を調達するときの金利が上がるということです。
銀行は日本銀行から借りた金利よりも高い金利で企業に融資します。なぜなら、そうしないと銀行の儲けがなくなるからです。
企業は、お金を借りる金利が高くなると、お金を借りにくくなります。なぜなら、支払う金利以上にお金を儲けるあてがないと、損してしまうからです。
こうして、日本銀行は公定歩合を上げることで、銀行から企業へお金が回る量を減らすことができるのです。
こうした日本銀行の動きのほかに、政府も不動産バブルを抑えるための対策を取りました。政府は「不動融資総量規制」を発動しました。この「不動融資総量規制」は、銀行に対し土地を買うために使われる融資を制限する法律です。
不動産バブルは、銀行から借りたお金で企業が土地を買ったために発生しました。
「不動融資総量規制」はこのような動きを直接制限するものでした。
公定歩合の引き上げと不動産融資総量規制によって、日本銀行と政府の思惑通り、投機的に土地を買う動きはピタリとまりました。
しかし、ピタリと止まりすぎたことが問題となりました。土地や株の値段が急激に下落していったのです。
政府や日本銀行は、過剰な景気をやんわりと落ち着け、「ソフトランディング」させたいと思っていたのですが、実際には急激に下落する、「ハードランディング」となってしまったのです。
【解説】
ソフトランディングとハードランディングについて
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ソフトランディングとは、過熱した景気をやんわりと落ち着け、正常な状態に戻すこと。ハードランディングとは、過熱した景気を一気に冷え込ませ、不況にしてしまうこと。
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1980年代に上昇を続けた土地や株は、1991年に急落を始めました。これが「バブル崩壊」の始まりでした。
土地の値段が下がると、企業は損をしてしまいます。それだけではありません。
ここで、前回記事で例に出した企業の例を再び持ち出します。
不動産バブルで大もうけした企業は、8億円の土地と2億円の借金を持っていました。
ここで、土地が一気に10分の1まで下落し、8000万円になってしまいました。
するとこの企業は8000万円の土地を持ち、2億円の借金を抱えることになります。
土地を売っても、借金を返すことはできません。商売でお金を稼いでコツコツと返していくしかありません。
ところが、バブル崩壊で土地や株の値段が下がると、これまで贅沢をしていた人々はあまりお金を使わなくなります。これでは商売のほうもあまり儲けられなくなります。
こうして、企業が保有している土地の値段が下がり、商売の利益も落ちたのに、銀行から借りた借金はバブル景気の頃のまま莫大な額で残ることになります。
企業は借金を返せなくなり、倒産してしまいます。
2億円貸していた銀行は、8000万円の価値しかない土地を受け取り、貸していた2億円は「返してもらえないお金」つまり「不良債権」となってしまいます。
「債権」とは、お金を貸した銀行の「お金を返してもらう権利」のことです。
「お金を返してもらう権利」を持っていたのに、企業が倒産してお金を返してもらえなくなったので、「債権」は「不良債権」になってしまうのです。
【解説】
不良債権について
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不良債権とは、銀行が企業に貸したのに、企業が倒産したりして返してもらえなくなったお金の事をいう。
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