※当記事は2009年11月24日に作成したものです。この記事が懸念した通り、日本は新興国よりも物価が安い国になりつつあります。
日本政府がデフレを宣言しました。
政府、3年ぶり「デフレ」認定 11月の月例経済報告
政府は20日発表した11月の月例経済報告で、物価の現状について「緩やかなデフレ状況にある」と表現し、日本経済は物価が継続的に落ち込むデフレにあると正式に認定した。月例報告に「デフレ」の表現を盛り込むのは2006年8月以来3年3カ月ぶり。景気の現状については「持ち直してきているが、自律性に乏しい」との判断を据え置いた。政府は今年度第2次補正予算や中長期の成長戦略の策定、日銀との連携などを通じ、デフレ脱却に向けた政策をとる考えだ。
WSJでも報道されています。
Japan's Government Confirms Deflation
TOKYO -- Japan's government Friday officially declared the economy has fallen into deflation and cautioned that continuous price declines could spell trouble for the economy's nascent recovery.
物価が下落し続けるデフレ状態となった一方、実質GDPはプラス成長しています。
(11/16)2009年7~9月期の実質GDP、年率4.8%増 2期連続プラス
内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.2%増、年率換算では4.8%増となった。2四半期連続のプラス成長で、2年半ぶりの高い伸びを記録した。輸出や個人消費が伸び、設備投資も増加に転じた。ただ国内外の経済対策の効果が大きく、景気持ち直しの持続力には不安が残りそうだ。政府は物価の下落が続く「デフレ」を警戒しており、2009年度第2次補正予算案の具体化を急ぐ。
前期比年率の実質成長率は1%程度とされる潜在成長率を超え、4~6月期の2.7%も上回った。日経グループのQUICKがまとめた民間予想の中心値(2.5%)よりも高かった。実質GDPの水準は前年同期より4.5%低い。
一方、生活実感に近い名目GDPは0.3%減(前期比0.1%減)となった。6四半期連続のマイナスに終わった。
引用文の最後の文章にあるように、名目GDPはマイナスです。
実質GDPがプラス成長する一方、名目GDPがマイナス成長とは、どういうことを意味するのでしょうか。
名目GDPと実質GDPの関係は以下の数式で表されます。
名目GDP - 実質GDP = 物価上昇率
少し式をいじると、
実質GDP = 名目GDP - 物価上昇率
となります。
この式からいえることは、名目GDPがマイナスであっても、それ以上に物価上昇率がマイナス、つまり物価が下落すれば、実質GDPはプラスになってしまうのです。
この状況を個人に例えると、こんな感じです。
「給料やボーナスは下がった(名目GDPが下がった)けど、それ以上に物価が下がった。サイゼリヤで300円でドリアが食べられるし、ドンキホーテでGパンが600円で買えるようになった。だから実質的には給料は上がったといえる(実質GDPはプラス)」
・・・こんな経済成長は、あんまりうれしくありません。
給料が下がる
↓
安いもので我慢する
↓
企業が値下げをせざるをえなくなる
↓
企業業績が落ち、従業員の給料が下がる
という縮小プロセスが続いたとしても、実質GDPはプラス成長をつづけるかもしれないのです。
これが、今後の日本の経済成長モデルとして定着してしまったら・・・
日本株が下落しつづけたとしても、「デフレを考慮すれば実質株価は上昇している!」などということを言い出す人が出てくるかもしれません。
私は、このデフレ下での実質GDP成長、という構造は続くのではないかと考えています。しかし、悲観はしていません。
中国等の新興国に、日本の物価や人件費が近づいていけば、日本の質の高い輸出製品が世界から再び注目されるでしょう。
いまはつらい時期ですが、日本は歯をくいしばって、質の高い製品やサービスを生産しつづける時です。
私たち個人レベルでは、自分に投資して自分の質を高めておくべき時期です。
デフレの波に負けてしまい、「安かろう悪かろう」という製品をつくってしまったら、日本の本当の強みを失ってしまいます。
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