【予備知識無しでもよく分かる経済解説26】日本銀行の役割(3)

今回は「予備知識無しでもよく分かる経済解説」シリーズをお送りします。

【予備知識無しでもよく分かる経済解説25】日本銀行の役割(2)


日本銀行の金融政策2:マネーサプライの調節

金利の調節のほかに、日本銀行が調節するのは、「世の中に出回っているお金の量」です。日本銀行はお金の量を調節することで、物価を安定させようとします。

ではここで、物の値段の決まり方を説明します。

物の価値は需要と供給で決まります。需要(欲しい人)が供給(売りたい人)よりも多いと、その物の値段は上がっていき、逆に需要(欲しい人)が供給(売りたい人)よりも少ないと、その物の値段は上がっていきます。

オークションで有名人が着た衣装などが高い値段で売られます。これは、有名人が着た衣装が少ししかない(供給が少ない)のに、その衣装を欲しい人がたくさんいる(需要が多い)ので、欲しい人同士で競争になり高い値段が付くのです。
 
 
逆に、私が着古した服は誰も欲しがりませんので、相当値下げしないと売ることはできません。

このように、物の値段は需要と供給で決まります。


【解説】
 物の値段の決まり方について
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物の値段は需要と供給で決まる。
需要が供給よりも多ければ、物の値段は高くなる。
需要が供給よりも少なければ、物の値段は安くなる。
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ではなぜ、お金の量を増やしたり減らしたりすることが、物価を変えることになるのでしょうか。日本銀行がお金を増やした場合を見てみましょう。

日本銀行がお金を増やす場合は、日本銀行は民間銀行が持っている国債を買い取ります。そして民間銀行にお金を支払います。こうすることで、日本銀行の中にあったお金は民間銀行へと出ていきます。日本銀行が民間銀行から国債を買うことを「買いオペレーション」、略して「買いオペ」といいます。

日本銀行から民間銀行へ渡されたお金は、民間銀行を通して企業へ貸しだされたり、住宅ローンとして貸しだされたりします。このように、「買いオペ」をすることで日本銀行の中に会ったお金が世の中へ出回っていくのです。

銀行からお金を借りた企業は、そのお金で設備を購入したり、材料を購入します。「買いオペ」で銀行にどんどんお金が流れた場合、銀行はお金をただ持っていても仕方ないので、どんどん企業へ貸しだします。

お金をたくさん借りた企業は、設備投資や材料の購入を増やします。つまり、企業の設備や材料に対する「需要」が増えるのです。こうして、需要が増えることで物の値段が上がっていくのです。

こうして、日本銀行が「買いオペ」をすると世の中のお金の量が増え、物価が上昇します。

【解説】
 日本銀行の「買いオペ」について
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「買いオペ」とは、日本銀行が民間銀行から国債を買い、お金を民間銀行に支払うことをいう。
日本銀行が買いオペをして民間銀行がお金を受け取ると、民間銀行は企業などへお金を貸し付ける。こうして世の中に流通するお金の量が増える。
お金を借りた企業は設備投資したり、材料を買ったりするので、物に対する需要が増える。こうして物価が上がる。
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逆に、日本銀行が民間銀行に国債を売り、お金を民間銀行から受け取ることを「売りオペレーション」、略して「売りオペ」と言います。

「買いオペ」の時とは逆に、「売りオペ」の場合は世の中に出回るお金の量が減ります。すると、「持っているお金で何かを買いたい」と思う人が減りますので、需要が減ることになります。需要が減ることで物価が低下することになります。

【解説】
 日本銀行の「売りオペ」について
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「売りオペ」とは、日本銀行が民間銀行に国債を売り、お金を民間銀行から受け取ることをいう。
日本銀行が売りオペをして民間銀行がお金を日本銀行へ支払うと、民間銀行が企業などへ貸し付けるお金の量が減ることになる。こうして世の中に流通するお金の量が減る。
手元のお金が減った企業は設備投資や材料購入を減らすので、物に対する需要が減る。こうして物価が下がる。
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このように、日本銀行が国債を売ったり買ったりして、お金を受け取ったり支払ったりすることを「公開市場操作」といいます。

【解説】
 日本銀行の「公開市場操作」について
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公開市場操作とは、日本銀行が民間銀行に国債を売ったり買ったりすることで、世の中に流通するお金の量を操作することをいう。
日本銀行は、物価を下げたいときに国債を買い、お金を民間銀行に支払って、世の中に流通するお金の量を増やす。これを「買いオペ」という。
日本銀区は、物価を上げたいときに国債を売り、お金を民間銀行から受け取って、世の中に流通するお金の量をへらす。これを「売りオペ」という。
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【まとめ】
 日本銀行の役割
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日本銀行には、「政府の銀行」「銀行の銀行」「発券銀行」という3つの役割がある。
日本銀行は、これらの役割を通してお金や金融システムを管理し、景気や物価の安定を図る。
そのために、日本銀行は、「金利」「世の中に流通するお金の量」を調節する。
日本銀行は民間銀行同士で貸し借りするときの金利であるコールレートを調節する。日本銀行が目標とするコールレートの水準を政策金利または、誘導目標金利という。
日本銀行が世の中のお金の量を増やす時、日本銀行は民間銀行から国債を買い取り、お金を民間銀行に支払う。これを「買いオペ」という。
日本銀行が世の中のお金の量を減らす時、日本銀行は民間銀行に国債を売り、お金を民間銀行から受け取る。これを「売りオペ」という。
「買いオペ」と「売りオペ」をあわせて、「公開市場操作」という。
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